仮点を作るときに90°を足すのはなぜか
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今回のテーマは平成29年度問21です。
「HとIの座標値を求める計算」において、直線HI上の仮点Mを作る際の考え方についてみていきましょう。
これを理解できると計算に強くなれるので、しっかり覚えておくことをお勧めします。
そもそも何をしようとしているのか
ひとまず状況を整理しておきましょう。
以下の図をご確認ください。
問題の設定は
① 建物の西側側面であるFとGを結ぶ直線に平行で、西側に1m移動させたところを分筆線とする
② ①の線と、AB、EDの交点がそれぞれH、Iとなる
です。
そこで、HとIの座標値を求めろ、ということですね。
この時点で、どちらも交点計算だな、ということは分かります。
さて、問題文では、以下の青丸の座標については明らかになっています。
交点計算をする場合、「2本の直線の方向角」と「その2本の直線上の点の座標値」が分かれば、計算することができます。
Hを求めるときは、ABとHIの交点計算
Iを求めるときは、EDとHIの交点計算
をすればよいということですね。
ABが既知点ですから、ABの方向角は分かります。
EDが既知点ですから、EDの方向角も分かります。
FGが既知点ですから、FGの方向角も分かります。
そして、HIの方向角は、FGの方向角と同じです(平行なので)。
ABが既知点なので、AB上の点の座標値はOK。
EDが既知点なので、ED上の点の座標値はOK。
これによって、あと交点計算に足りないのは「HI上の点の座標値」である、ということが分かります。
つまり、交点計算をする前提として、まず直線HI上の点を求めようとしているわけですね。
どうやってHI上の点を求めるのか
さて、ではどうやってHI上の点を求めるのか。
そのヒントとなるのが、「HIは、FGを西側に1m平行移動させた線である」ということです。
ということは、「FG上にある点」を同様に「西側に1m平行移動」させてあげれば、HI上の点になります。
FG上にある点といえば(当たり前ですが)FとGです。
どちらでもいいですが、Fを使いましょう。
Fを、「西側に1m平行移動」させるのです。
そして、平行移動させた点を「M」としましょう。
こんなイメージです。
さて、ではFを移動させてMの座標値を求めたいと思います。
どういう計算をすればよいでしょうか?この場合は
「FからGの方向角に90°を足した」方向角に1m移動させることになります。
ここが多くの方がつまづかれるところでしょう。
なぜ90°なのか?ということですね。
ここで大事な知識は
平行な2直線間の距離は、その2直線間に引いた垂線の長さになる
ということです。
今ここに2本の適当な線を引きました。
右側の赤い点から、もう1本の直線への距離は一体どこで測るでしょうか?
お分かりですか?
平行な直線の間の距離というのは、どちらにも直角に交わる垂線の長さなのです。
本問において、FMの距離が「1m」ということは、ここの距離が1mということです。
勘のいい方はそろそろお気付きですかね。
この場合、FからMへの方向角は、FからGの方向角に90°を加えた値になるのです。
以下の図をご覧ください。
(FからGの方向角がオレンジ、FからMの方向角が赤です)
そのため、まずFからGの方向角を求め、それに90°を加えた方向にFを1m移動させれば、Mになる、ということです。
あとは、求めたMを使って交点計算をしてあげればよいだけです。
「平行移動した線上の点に移動させるときは、方向角に90°の差が生じる」という知識をしっかり覚えておいてください。
GからFの方向角を使う場合は?
「GからFの方向角を使っても90°を足せばいいですか?」
という質問もよく頂きます。
この場合は90°を足してはいけません。
逆に、90°を引きます。
GからFの方向角を使った場合、ご覧の通り、矢印は北向きになりますね。
この矢印の向きを「西側」に向けたいわけですから、回転させる方向は「左回り(反時計回り)」になります。
回転させるときは
- 右回り(時計回り)ならプラス
- 左回り(反時計回り)ならマイナス
にします。
つまり、GからFの方向角を求めて、そこから90°を引いた方向角を使うことになります。
(時計回りの方が分かりやすければ、「270°を足す」でもよいです)
- どこからどこへの方向角を使うか
- その向きをどちらへ向けたいか
によって、プラスにするかマイナスにするかを決めるわけです。
最初はややこしく感じるかもしれませんが、何度かやればすぐに感覚が掴めるはずです。
頑張って計算してみてください。