符号を除く従前の登記事項の全部が抹消されるのはなぜ?
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今回の題材はこちら。
附属建物の種類に関する変更の登記をする場合において、表題部に附属建物に関する記録をするときは、当該変更後の附属建物の種類、構造及び床面積が記録され、当該変更前の附属建物の符号を除くその登記事項の全部が抹消される。
(平成30年度 問題14 肢ウ)
この問題の答えは〇です。
これは以下のような規定があるからです。
(準則94条1項)
附属建物の種類、構造又は床面積に関する変更の登記又は更正の登記をする場合において、表題部に附属建物に関する記録をするときは、当該附属建物の変更後又は更正後の種類、構造及び床面積の全部を記録し、従前の登記事項(符号を除く。)の全部を抹消するものとする。
で、皆さんが気になるところとしては、「なぜこのような取り扱いをするのか?」というところだと思います。情報が変わるのは一部分だけなのに、全部を抹消するわけですからね。
で、この答えはシンプルで、「その方が分かりやすいから」です。
まず、一般的な附属建物が登記されている登記記録を見てみましょう。
例えばこんな(中山先生のブログから拝借して改編)。
ここで、仮に符号1の附属建物を増築したとします。
とすると、床面積に変更が生じますよね。
ではそれを、「全部を抹消」せずに、変更した情報だけ記録したらどうなるでしょうか。
こんな感じになってしまいます。
附属建物が2つあるので、符号2の附属建物の下に記録することになるわけですね。
すると、離れたところにポツンと床面積だけが記録されることになります。
(え?これ何の情報?すぐ上の符号2?)
となってしまうんですよ。
附属建物が1つしかなければ支障はないんですが、もともと附属建物は複数並記されることが想定されているので、たくさんあってもどの建物の情報かを分かるようにしておく必要があるわけですね。
そこで、附属建物について変更や更正があったときには、従前の情報を一旦全部抹消して、一番下に改めて全部記録し直すことにしているのです。
(なお、符号を抹消しないのは再度その符号を記録するからです。抹消したら同じ符号が使えなくなってしまいますので)
ちなみにこの取り扱いは、あくまで「登記官が登記記録に記録するときの話」であって、我々が申請書を書くときの話ではありません。
我々が申請書を書くときは、符号1の附属建物の下に変更や更正した情報「だけ」を書き、従前のままの部分は空欄でOKです。
(符号2の附属建物はさらにその下に書く)
要は、「いつもの書き方」をすればよいということです。