申請義務はなかったのでは?
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今回取り上げる問題はこちら。
甲登記所において登記されている建物について、市町村の合併により管轄登記所が甲登記所から乙登記所に転属した場合には、当該建物に係る不動産所在事項の変更の登記の申請は、乙登記所にしなければならない。
平成27年度 問12 肢エ
これを読んだほとんどの人は、×と判断するでしょう。
なぜなら、行政区画の変更があった場合には、登記記録に記録した行政区画について変更の登記があったものとみなされ(規則92条1項)、登記官が職権で地番の変更の登記をすることになっているからです(準則59条)。
つまり、所有者に申請義務はありません。
だから、胸を張って×としますよね。
ただ…信じられないことにこれは〇肢とされています。
「え?なぜ??」
ですよね。はい、私もそう思います。
これは半ば出題ミスだといえますが、実は論点はそこではない、ということなのです。
この平成27年度問12の問題文を確認してみましょう。
建物の管轄登記所に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものは、幾つあるか。
つまり、「管轄登記所」についての問題、ということですね。
「申請義務の有無」についての問題ではないのです。
本問で確認したかったのは、
管轄登記所が甲登記所から乙登記所に転属した場合、管轄登記所はどちら?
ということなんだと思います(当然乙なんですけど)。
選択肢においては、そもそも所在の変更登記は必要ないものの、乙登記所が管轄である記載になっていますから、〇肢と判断しないといけないということですね。
正直かなり無理がありますし、本問はまさかの個数問題でしたから、正しい知識を持っていた人ほど正解できなかったと思います。
今後はこういったことがないようにして頂きたいですね。
受験生の皆さんは、この肢は×肢とし、問題演習を行うときは、問12として解答を出すのではなく、肢ごとの正誤を判定するだけに留めておいてください。
そうしないと、正しい知識が身に付きませんからね。