今回の題材はこちら。

区分建物としての構造上の要件を備える互いに隣接した2部屋を一個の区分建物として登記している場合において、その2部屋間の隔壁を除去し物理的に1部屋としたときは、建物図面及び各階平面図の訂正の申出をすることができる。

令和元年度 問題10 肢オ

結論から言いますと、この答えは×です。
本肢の場合、図面の訂正の申出はすることができません。
(登記の申請もすることができません)

で、「じゃあ何ならできるんですか?」「そもそもコレってどういう状況なんですか?」という質問が多いので、今回はこちらを説明しておきましょう。

そもそもどういう状況なのか


状況を整理するときは、問題文を丁寧に読むことです。

区分建物としての構造上の要件を備える互いに隣接した2部屋を一個の区分建物として登記している

と書いてありますね。
はい、これはどういうことか。

例えばマンションの101号室と102号室があったとすると、その101号室と102号室が「まとめて1個の建物として登記されている」状態ということです。

え、そんなことあるの?

と思われるかもしれませんが、ありますよ。
所有者が同じで、管理上その方が都合がよいのであれば、2部屋を1個の建物とすることはあります。
そして、それが「区分建物」として登記されているということですから、いわゆる「区分合併の登記を申請して、合併後も区分建物である」という状態です。

図にすると今はこんな感じということですね。

赤い線が建物の形状です。
つまり、建物図面も各階平面図も、この形状で記録されています。
ご覧頂いてお分かりの通り、101号室と102号室の間の隔壁も含めて床面積に算入されていますよね。
これが区分合併されているときの特徴になります。

さて、では次の記述をみていきましょう。

2部屋間の隔壁を除去し物理的に1部屋とした

つまり、101号室と102号室の間の隔壁を壊して、一続きの大きな部屋にしたわけですね。
図にするとこんな感じです。

ご覧頂いてお分かりの通り、建物の形状に変化はありませんね。
隔壁だった部分が使えるようになっただけです。
つまり、建物図面も各階平面図も変更する必要性がありませんので

建物図面及び各階平面図の訂正の申出をすることができる。

という記述は×になります。

ついでに言えば、登記記録上も何も変化がないので、登記の申請もできません。

合体にはならないのか?


「隔壁を除去したのなら、合体による登記等を申請しなければならないのでは?」と疑問をお持ちになる方もいると思います。

ですが、これは合体による登記等には当たらないんです。

そもそも合体とはなんでしょうか。
合体とは、二以上の建物が、増築工事等によって構造上1個の建物となることをいいます。

「二以上の建物」

なんですよ。
そもそも本肢の建物は何個でしょうか?
「1個」です。
ちゃんと問題文に「一個の区分建物として登記している」と書かれていますよね。
ですから、1個の建物の中にある隔壁を除去しても、それは合体にはなりません。

これは、例えば「主である建物と附属建物が合体した場合」でも同様です。
主である建物と附属建物は「登記記録上1個」の建物ですから、合体しても、合体による登記等ではなく、建物表題部変更登記を申請することになりますよね。

「隔壁を除去」といった言葉に惑わされることなく、ちゃんと判断できるようになるためにも、合体の定義はきちんと理解しておきましょう。

令和5年度アガルート受講生の土地家屋調査士試験合格率は63.41%(全国平均の6.56倍)

令和5年アガルート受講生の測量士補試験合格率は95.2%(全国平均の2.96倍)

令和5年度アガルート受講生の測量士試験合格率67.61%!(全国平均の6.56倍)

資料請求で講義とテキストの一部を無料でプレゼント!

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

資料請求で講義を無料体験